東都大学春季リーグ戦 苦戦からの成長‏


 4月10日から八王子市民球場ほかで春季リーグ戦が行われている。専大は新チームになり最初に行われた関東地区大学選手権大会において優勝を飾り、勢いそのまま今大会に臨んだ。

 しかし現実は予想以上に厳しいものだった。開幕戦、格下だと思われていた亜大に連敗。続く日大戦では第2戦で勝利するも、国士大にも連敗し勝ち点を奪うことができない。選手からも「何で負けているのか分からない」と突然のスランプに陥る。エース川田展行(3・桐生一高)に勝ち星がつかないことも気がかりであったが、決して内容が悪いわけではない。島田監督が「川田が腐らず投げてくれていることはすごいこと」と話すように勝てない理由は守備にあるようだ。もともと専大は投手を中心に守り勝つチーム。そこで重要になるのが守備力である。今、チームは「守備のリズムが攻撃にも影響する」と一般的に言われる状態にどっぷりはまってしまっているのだ。この不安要素を抱えたまま宿敵中大との対戦を迎えた。

 悪い流れは簡単には変えられないのか。初回死球に二つのエラーでいきなり先制されると2回にもミスがからみ2点を加えられる。観客の中には今日もダメなのかと思われた人もいるだろう。しかしこの日、これまでの試合とは違うものがあった。ベンチの雰囲気である。自分にも違いが伝わってくるほどだ。驚くのは結果も変わることである。次回を3人で抑えた4回、四球と犠打でチャンスを作ると主将坂東龍一郎(4・県立岐阜商高)のタイムリーが飛び出したのだ。雰囲気とは恐ろしい力を持つことを実感させられた。

 その後試合は相手の継投策もあり追加点を奪うことができず1-3で負けてしまったのだが、3回以降先発の川田が1安打に抑えると守備陣もエラーなしで無失点に抑え込んだ。

 試合後島田監督から「スタンドで見ていてどうだった」と意外な質問を投げかけられた。ベンチの中でも変化を感じ取っていたのだろう。坂東主将のコメントからも「悪い流れから抜け出す兆しが見えた」や「今後の試合が楽しみ」など前向きな言葉ばかりを聞くことができた。

 この変化はすぐに結果として表れた。次週に行われた東海大戦では第1戦で川田が4安打完封勝利で初勝利を挙げると、第2戦では「久々にすっきりした」というように19安打12得点と打線が大爆発し連勝でやっと勝ち点を手にしたのだ。たった1試合のきっかけだけでここまでチームが変わるのか。野球の面白さを改めて感じさせられた。しかしこの変化は奇跡でも偶然でもない、実力があるからこそ起きたことなのだ。積み重ねがないチームに急激な変化は生まれない。

 負け続けていた時、島田監督が常に言っていたことは「このスランプを乗り越えればまた一つチームが強くなる」ということ。そして東海大戦後、坂東主将からは「負け方を知ることができた。一歩成長できたと思う」という言葉。今まで出会うことがなかったスランプをチーム全体で乗り越えた専大準硬式野球部はどこまで強いチームになったのか。その成長を今週末に行われる日大第3戦、中大第2戦、そして最大の目標である全日本大学選手権(8月30日~神戸・明石公園野球場ほか)で見せてもらいたい。


▲今季2勝を挙げている小池友貴(3・高知商高)



(笠井規史・商2)




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