関東学生秋季リーグ4日目



大会4日目の18日は、男子が14時30から明治大学と、女子が10時30から日本大学と対戦した。

先に行われた女子の試合。相手は今秋昇格した日本大学。共にここまで全敗同士の対戦。最低条件である残留に向け、絶対に落とせない試合である。
 初戦、専大はこの秋リーグデビューした1年楠原を大胆にも起用。結果これが功を奏した。リーグ2試合をこなし、敗れはしたものの経験を積んだ楠原は、この日はフォアにバックに冴え。また得意のラケットを振り上げるようなサーブは幾度かミスが見られたものの、決まれば相手を乱す飛び道具となった。接戦となった3ゲームをすべて制し、リーグ戦初勝利。その顔には満面の笑みが浮かんでいた。2試合目はエース高。相手目黒は関東学生ベスト16と勢いのある1年生だが、さすがは同大会の準優勝。格が違った。全てのゲームで4点差以上をつける、危なげないストレート勝ち。力の差を見せつけた。3試合目はダブルス戦。専大はダブルスエースの天野・樽見組をここで投入。前日はストレート負けを喫したが、この試合ではその鬱憤を晴らすかのように力を発揮。11-5、11-6、11-3と圧倒し、あっという間に決着をつけた。大手を掛けた専大。またここまで1ゲームも奪われておらず、全てストーレート勝ち。特に何もいわれはないが、このまま完全勝利なるか!?
 迎えた第4試合、シングルスにおける高の次ぐ勝ち頭、天野を起用。対する日大は、ここで今年の関東学生選手権決勝にて高を破り優勝したスーパールーキー・馬を出してきた。自チームのエースをも倒した強敵。勝つことは難しいように思えた。ところが蓋を開けてみると、試合は天野が主導権を握った。伸びのある天野のフォアに馬はレシーブミスを連発。第1ゲームをシーソーゲームの末奪うと、続く第2ゲームも11-7で危なげなく勝利。天野のストレート勝ちまで、いや、専大の完全勝利まであとゲームひとつ。第3ゲーム、試合はでユースにもつれ込む。あと2点・・・。しかし、ここから馬が本領を発揮。関学女王に高を破った時に見せた、恐るべきパワーの打球が戻ってきた。天野も負けじとパワー応戦するも、体格差から力勝負では分が悪く、序盤とは逆に天野がミスを連発。そのゲームを落とすと、第4、第5と3-11、6-11と大差で落とし、あと一歩のところまで追い詰めながらも、金星を逃すかたちとなった。1勝を与え、イヤな流れが漂いだした。何としても次で決めたい専大。その第5試合はまたもダブルス戦。普段と同様、榊原・原組を送りだした。天野。樽見組と同じく、前日ストレート負けを喫している2人は、この試合もこれまた同じ展開の試合を披露した。11-7、11-6と常リードを奪いながら2ゲーム連取すると、最後は圧巻の11-1。ストレート勝ちで悪い流れをしっかり断ち切り、専大に初勝利をもたらした。

 ついにこの日がやってきた。宿敵明治大学との対戦である。春季リーグではあと一点というところまで追い詰めながらも粘られ逆転負け。次のインカレでは屈辱のストーレート負けを喫し、明治はその後大会を制した。インカレチャンピオン、加えて全日本チャンピオン・水谷をも擁する最強の相手。だが優勝を目指す以上負けられない。試合前から専大選手たちの目の色が、いつもと異なるのが見て取れた。3度目の正直、いざ。
 第1試合、専大は相手をトップバッターを水谷と読んだのか、対戦経験のある1年の田中を起用。これが今季初出場。しかし、明大は1番手に関東学生選手権で徳増を破りベスト4入りした、池田を持ってきた。第1ゲーム、実力で劣る田中だったが、負けない戦い振り。終盤まで競った試合を披露。しかし、詰めが甘かった。8-8から一気に3連続ポイントを許し、先にゲームを奪われる。第2ゲームも同じような展開。今度は7-7から4ポイントを続けて落とした。後がない田中だったが、徐々にその差は露わに。最後は3点しか奪えず、ストレート負け。先手を許す厳しいスタートとなった。第2試合、ここで現在日本最強プレーヤー・水谷が出てきた。観客席が一気に騒がしくなる。対する専大は、来季から江藤とともにチームを引っ張ることが予想される、成長著しい石井。ここ一番の勝負強さは誰よりも持っているため、筆者としては予想を覆し、面白い試合をする可能性も考えられた。しかし、その力は恐るべきものだった。序盤こそ食らいついたが、決まったと思われたスマッシュをことごとく跳ね返し、自分のポイントに。また伸びのあるフォアをコースに使い分け、石井は反応すらできないことも。結局3ゲーム合わせて15点しか奪えず完敗。専大の実力者がここまでの差をつけられることは、個人的に戸惑いを隠せなかった。2連敗と悪い流れで、暗雲が立ち込めてきた。第3試合、もし次も落とすことがあれば、穴のない明大相手にこのあと4連勝しなくてはならなくなる。ほぼ勝ちの芽が潰えると言っても過言ではなかった。
 しかし、このピンチをエース・徳増が救った。相手、根田も1年生ながら関学ベスト16の力を持ち、敗れる恐れは充分にあったが、背負ってるものの重みが違った。いつにも増して気迫溢れる徳増は、第2ゲームこそ接戦を落としたが、その他の試合を11-5、11-4、11-6と圧倒。これぞエースといえる危なげない勝利で、チームに落ち着きを取り戻させた。これで行方が分からなくなった。次の第4試合はダブルス戦。引き続いての徳増と江藤のペア。インカレでは不安定だった姿が嘘のように、ここまで3連勝とすっかり専大の武器になった。ここで振り出しに戻せれば、インカレ王者の戦力と比べても、贔屓目なしに勝負の行方は五分五分に思えた。しかし、対する明大はまたしても水谷を起用。同学年の甲斐と組ませてきた。水谷は記憶に新しい、今年の世界卓球でダブルス3位に輝いている。
その時と相方は違うが、その肩書きは聞いただけでも恐ろしい。そんなペアに勝つことができるのか。そんな不安を徳増・江藤は吹き飛ばした。第1ゲームは6-11で落とし先手を許したが、続く第2ゲームを11-6返しで奪い返す。第3ゲーム、またしても相手に取られ後がなくなったが、そんなことを微塵も感じさせない自信あふれるプレーで、またも同点に追いついた。勝負は最終第5ゲーム。試合は徳増・江藤が主導権を握って進んだ。中盤まで5-2と3点差をつけ、このまま押し切れると思われた。しかしコートチェンジ(最終ゲーム、どちらかが5点に達すると行われる)後、突如乱れた。そこから4連続ポイントを許し一気に逆転されると、そのリードを最後まで覆すことはできなかった。これでトータルスコア1-3。専大、ついに後がなくなった。
 迎えた第5試合、専大はここまで全勝の第2エース森田。相手も水谷に次ぐ実力者、関学ベスト4の軽部。この試合も勝負は最終ゲームにもつれた。この日も調子の良さを感じられた森田は、軽部相手にもその攻撃的スタイルをいかんなく発揮。だが軽部も確実にそれを返し、技術で応戦してきた。その第5ゲーム、これまた接戦。取りつ、取られつのシーソーゲームはついにヂュースにまで突入。手に汗握る攻防、しかし最後に沸いたのは明大ベンチだった。1-4。敗戦。そこに数字ほどの差はない。それでもこの勝負強さこそが、王者の強さなのだろう。





試合詳細

男子
明治大学 4 ― 1  専修大学
池田和正 3 (11-8,11-7,11-3) 0  田中健奨
水谷隼 3 (11-8,11-3,11-4) 0  石井匠
根田雄一 1 (5-11,11-9,4-11,6-11) 3  徳増信弥
▼男子のエース徳増

甲斐義和/水谷隼 3 (11-6,6-11,11-9,7-11,11-8) 2  徳増信弥/江藤遼
軽部隆介 3 (11-8,8-11,4-11,11-4,12-10) 2  森田翔樹

女子
専修大学 4 ― 1  日本大学
楠原憧子 3 (11-9,11-8,11-9) 0  森本詩野
高瑜瑶 3 (11-6,11-7,11-5) 0  目黒さくら
▼女子のエース高

天野友未/樽見早由利 3 (11-5,11-6,11-3) 0  大庭綾文/目黒さくら
天野友未 2 (11-9,11-7,10-12,3-11,6-11) 3  馬文ティン
榊原恵/原ちひろ 3 (11-7,11-6,11-1) 0  仲島あゆ美/吉田美穂

コメント

男子・高宮啓コーチ
「惜しい試合だった。ダブルスも最後のシングルスも、あと一歩のところで何かが足りなかった」
男子主将・加藤充生樹
―またも明大に敗れる形となったが、何が足りない?
「インカレの時と同じように、勝ちきれない部分の差がそのまま力の差だと思う」
―1番手を田中選手にし、エースの徳増選手を通常の2番ではなく3番にしたのは、相手のオーダーを1番手水谷、2番手軽部と読んだから?
「そうですね。水谷には1年生で勢いのある田中を当てたかったですし、徳増は軽部と相性が良くなくて、相手のラバーが裏ならば、分のある表ラバーをということで石井を2番にもっていきました」
―次の埼玉工業大戦に向けて
「後の試合はすべてストレート勝ちする気持ちで戦かっていきたい」

次の試合は9月21、男子は埼玉工業大学と、女子は日本体育大学とそれぞれ12時から対戦する。



(馬場雄也・ネット情報3)



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