関東リーグ最終戦 希望見える敗戦、波乱のシーズンに幕
>監督・選手コメント
リーグ開幕からおよそ2カ月、専大のパフォーマンスは一向に上がることはなかった。前の試合(山梨学院大戦)では単純なミスを繰り返し、モチベーションとなっていた入れ替え戦の灯も早々に消えてしまう。そして11月29日の熊谷、専大は立正大学に敗れて歴代初となる2部Bクラスが決まった。最後までネガティブな話題が絶えず、散々な結果に終わってしまった岩宮組だが、最終戦は間違いなく今シーズンのベストゲーム。自分たちのラグビーを貫き通した、渾身の力を振り絞っての敗戦だった。
最後の全体練習となった26日、榎本監督はチームの雰囲気に確かな手応えを感じていた。「今日の練習は非常にいい雰囲気でやれた。まだミスは多いけど、コンビネーションのところとか、だいぶ良くなってきた」。課題となっているスクラムの練習では、コーチとともに付きっきりで指導した。「スクラムはBチームの方が強いかもしれないね」と漏らしたが、「立正大のスクラムを見る限り、きちんと組めれば負けることはない」と宮崎コーチ。選手たちの表情は重圧から抜け出したかのようにリラックスし、岩宮壮主将(4・報徳学園高)も「最後の試合だから、ラグビーを楽しみたい」と吹っ切れた様子だった。
▲踏ん張りを見せたスクラム
専大は序盤からブレークダウンで優位に立ち、何度も相手ボールをかっさらった。立正大はラックをつくるよりも立ってつなぐ意識が強く、ラックプレーのときに十分な隙があった。そこを専大のFW陣が狙い、中でもLO岩宮、NO8酒井晃也(4・秋田中央高)、LO鳥井勇希(4・正智深谷高)ら4年生FWが素早い絡みをみせ、相手のペナルティを誘発していた。
セットプレーも安定し、前の2試合で押されっ放しのスクラムはほぼ互角。10分にボールアウトの際にプレッシャーをかけられて先制トライを奪われたが、その後のマイボールスクラムはすべてクリーンアウトした。ラインアウトの成功率は平凡だったが、30分にはラインアウトモールのフェイントからトライを挙げ、ディフェンスでもモールを簡単につくらせなかった。緊迫した前半は8―8の同点で折り返された。
▲持ち味の展開ラグビーが発揮された
後半はいきなり試合が動く。2分、立正大は左ラインアウトから右への展開でトライを奪う。すると直後の短いキックオフを岩宮がキャッチし、右展開から古川賢一(4・東農大二高)が3人のディフェンスを振り切り、WTB浦島伸祥(2・御所工高)がノーホイッスルトライ。さらに2分後、またも古川が巧みなハンドオフからゴールに迫るが、残り2メートルでタックルを受けノックオン。一進一退の攻防が続いた。
専大BKは前半から外に大きく振って攻め込み、大外のプレーヤーの踏ん張りもあって継続した攻撃が出来ていた。後半の中盤に差し掛かると、疲れの見えるFWの集散が遅れる場面もあり、立正大がボールを奪い返すシーンが多くなる。15分、21分と立正大に継続からトライを奪われたが、いずれも専大のタックルミスが絡み、ディフェンスの集散が遅れていた。
2トライ差となった後は専大が怒涛の反撃。28分にはSO守田拓記(3・報徳学園高)がギャップを突いて抜け出し、2本のパスから最後は酒井が中央にトライ。直後のゴールも決まって3点差となる。その後も大外を中心に攻め立てるが、立正大も必死のタックルで応戦し、激しいボールの奪い合いが続いた。結局スコアは動くことなく、シーズンの終わりを告げるノーサイドの笛。勝負には負けてしまったが、最後に専大のラグビーを取り戻し、そのプレースタイルにも光を見出したいいゲームだった。試合後の選手たちは毅然とした態度で、胸を張ってスタンドの声援に応えた。
▲スタンドに向かって最後の礼をする選手たち
國學院大戦の悪夢や初の2部Bクラスなど、専大にとって09年は波乱のシーズンだった。けが人も相次ぎ、不振からモチベーションの低下もあったかもしれない。来季はリーグ前半戦でAクラスのチームとぶつかるため、より1部復帰への道は険しいものになってしまった。結果だけ見れば最悪の年、しかし最後見せた4年生の意地は、下の世代に確実に受け継がれていく。来季の飛躍を予感させながら、専大ラグビー部は大きな一歩を踏み出した。
《試合経過》 ・前半(8-8) 10(立)スクラムのボールアウト狙われNO8に抜かれてトライ、キック× 0-5
24(専)中央22メートルPG(古川) 3-5 30(専)左ラインアウトモールから④岩宮がトライ、キック○ 8-5 36(立)中央30メートルPG 8-8 ・後半(12-15) 02(立)左ラインアウトから複数ポイントのあと右展開でトライ、キック× 8-13
04(専)キックオフ取り右展開から⑮古川→⑭浦島とわたりトライ、キック× 13-13 15(立)左展開から2次目で抜かれトライ、キック× 13-18 21(立)右展開から連続攻撃しトライ、キック× 13-23
28(専)⑩守田がギャップ抜け最後は⑧酒井がトライ、キック○ 20-23
(山中克浩・経済2 写真=土屋杏有美・文1、松本かおり氏)
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