関東リーグ第6戦 狂った歯車はかみ合わず、早すぎる終戦



 暗雲に包まれ、冷たく暗いグラウンドは、終戦を迎えたフィフティーンの心情を如実に映しているかのようだった。11月14日に行われた山梨学院大学戦で敗れた専大は、最終戦を前にして早くも1部復帰の望みを断たれた。“自分たちのラグビー”は土壇場でも発揮されず、ミスで生じた不協和音は鳴り止まなかった。



▲試合後、肩を落とし整列する選手たち

 立ち上がりから山梨学院大がペースを握った、というよりも、自ら相手にボールを明け渡し続けた専大の自滅だった。イージーなミスを犯しては周りのフラストレーションが溜まっていき、ミスを連発する悪循環にはまっていく。こうなると今季は修正が利かない。この試合でも流れを引き寄せられないまま、ずるずると時間だけが過ぎていった。

 10分の山梨学院大のトライは相手ウイングの個人技によるものだったが、人数は揃っていただけに対面の松尾俊介(1・長崎北高)はアウトサイドを抑えるべきだった。全試合スターターでウイングを務めている松尾だが、國學院大戦では対面に翻弄されるなどディフェンス面で課題が多い。キックを使わない展開重視のラグビーで敵陣に入り込む専大だが、一人ひとりのパスの精度が悪く、スピードに乗ったライン攻撃は鳴りをひそめた。球出しも遅くリズムが悪い攻めに終始し、逆に陣地を押し戻されるシーンもあった。前半は古川賢一(4・東農大二高)のPGで3点を返すのがやっとだった。

 立て直したい後半だったが、7分には自陣深くのマイボールスクラムをかっさらわれトライを許す。毎回のようにスクラム絡みの失点を繰り返す専大だが、その象徴ともいえるシーンだった。反撃は29分、酒井晃也(4・秋田中央高)がハードタックルを決めると、そのこぼれ球をCTB浦島伸祥(2・御所工高)が拾い上げ、SH厨龍一(4・天理高)、松尾とつないでようやくトライを挙げた。しかし、その5分後にDGを決められ2トライ差とされると、鳥井勇希(4・正智深谷高)のノックオンボールが相手の懐に収まり、そのままインゴールまでウイニングラン。これで完全に勝負は決した。ただ、そこからの専大はすごかった。1対1にこだわるアタッキング、次々と溢れ出るサポート、何より選手たちの気迫が力を引き出した。40分には相手陣のスクラムを根性で押し切ってトライ。ラストプレーでは左ポイントから大きく右に振ると、石渡賢人(4・國學院久我山高)が対面を制した。直後のコンバージョンを厨が決め、ここでノーサイド。確かにチームは上位争いできる力を示した。それだけにもったいない。力を出すのがあまりにも遅すぎた。


 リーグ戦も最終節を残すのみ。同勝ち点で並ぶ國學院大が勝った場合、専大は立正大に勝ったとしても、歴代最低となる2部5位が決定する。対する立正大は、勝てば入れ替え戦出場に近づく大事な試合となるため、モチベーションを高くして臨んでくるだろう。専大にはもう意地しかない。終盤に見せた怒涛の攻撃は、まさにそこから生まれたもの。「負けたくない」という気持ちを強く抱え、岩宮組は最後のピッチに立つ。


▲執念のトライを決めたWTB石渡

榎本監督
「今シーズンはずっと同じ形で負けている。ミスも多いし、スクラムも悪い。最後は全員で前に出る意識が出て良かったけど、開始から出せなければ勝負には勝てない。何とか残り1試合、一番いいゲームを見せたい」

宮崎コーチ
「スクラム、ブレークダウンのところは練習で重点を置いているが、課題は多い。ただ悪いところだけではない。最後の2トライとか、いい部分は試合の中で確実にある。そこをいかに勝負どころで出していくか。自分たちのラグビーができれば、立正大にも勝てる力はあると思う」

《試合経過》
・前半(3-14)
10(山)右展開からウイングが2人かわしトライ、キック○  0-7
35(山)左ラインアウトからFWゴリ押しでトライ、キック○  0-14
41(専)中央35メートルPG(古川)○  3-14
・後半(19-15)
07(山)自陣ゴール前のスクラムを奪取されトライ、キック×  3-19
29(専)こぼれ球を⑫浦島が拾って⑭厨→⑪松尾とつないでトライ、キック×  8-19
33(山)中央22メートルDG  8-22
36(山)中盤でこぼれ球を拾われ独走トライ  8-29
40(専)敵陣ゴール前のスクラムを奪取し⑦牛島がトライ、キック○  15-29
43(専)右への大きな展開から⑬石渡が個人技で突破しトライ、キック○  22-29


《試合日程》
11/22 関東ジュニア戦(C3)第5戦 対 山梨学院大学 @伊勢原 13:00KO
11/29 関東リーグ(2部)第7戦 対 立正大学 @熊谷 14:00KO



(山中克浩・経済2 写真=土屋杏有美・文1、松本かおり氏)





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