他競技に学ぶ ―専大レスリング部とキヤノンラグビー部が合同練習―‏


 近年、スポーツ界では自身の競技だけではなく、他競技から学ぶという取り組みが盛んに行われている。 
 
 5月24、25日の両日、本学第二体育館にて専大レスリング部とキヤノンラグビーフットボールクラブとの合同練習が行われた。初日はBK(バックス)、2日目はFW(フォワード)の選手が練習に訪れ、18時から20時半まで専大レスリング部員と共に汗を流した。

 社会人のラグビーチームと学生レスリングの合同練習。この“他競技のコラボレーション”が行われた経緯は、専大レスリング部コーチの久木留毅氏とキヤノンヘッドコーチの永友洋司氏(元ラグビー日本代表・前サントリー監督)が古くからの知人ということで実現した。

 主将の鈴木聖二(4・岐阜工高)を中心に練習がスタート。前転・後転などのウォーミングアップから始まり、部員とキヤノンの選手でペアを組み、打ち込み、グラウンド、スパーリングなどレスリングの基本となる動きを行った。その後反復横とびや懸垂などの補強トレーニングをこなし、練習を終えた。慣れない動きに苦戦しながらもキヤノンの選手たちは積極的に練習に励んでいた。


▲奥から永友氏、久木留コーチ、佐藤満コーチ

 練習に参加したキャノンの瓜生靖治選手(SO/バイスキャプテン)は「レスリングというスポーツに触れることは、今までに一度もありませんでした。今日練習をしてみて、タックルの仕掛け方や首の使い方などがすごく参考になりました。多くの海外のチームはレスリングを取り入れていますが、外国の選手には “局面”の強さがあります。他競技から学ぶという点に関しては、個人的な意見ですけど、BKは陸上競技のトレーニングを継続して指導してもらえたらいいなと思っています(今年4月15日にも、キヤノンアスリートクラブ九州の監督である衞藤道夫氏から指導を受けている)」と話した。


▲トレーニングに励むキヤノンの選手たち


▲グラウンドの練習

 今回の合同練習をオファーした永友氏は「他競技を積極的に取り入れるというのはあらゆるスポーツで注目されていることですが、ラグビーにとってはレスリングが非常に注目されていて、南半球のラグビー強豪国では結構前から取り入れています。タックルや足の運びなどラグビーとの共通点はたくさんあり、体全体を使うので非常に良いトレーニングになります。ナチュラルフィットネスという、引いたり、持ち上げたり、倒したりといった能力を強くすることができます。BKに対しては瞬発性に、FWに対しては筋力、持久力に対して効果が期待できますね」とレスリングを取り入れることのメリットを話した。

 また、練習中の選手たちの姿を見て「レスリング部の選手と実際にスパーリングをして、選手たちにとっては貴重な体験になったと思います。専大のレスリング部は〝すごい〟の一言です。こちらに対して本気でやってくれているのも感じました。ポジションの取り方や首のトレーニングも参考になりました。今日だけではなかなか身につかないと思うので、これからもこのような試みは続けていきたいです」とコメントし、今後もこのような取り組みを積極的に行っていく姿勢を示した。

 他競技から学ぶためには、まず己を知ることが重要である。今回の練習をリードした鈴木主将は「いつもとほぼ同じ練習内容でしたが、すごく新鮮でした。やはりラグビーとレスリングは全く違うスポーツなので、タックル1つとっても、ラグビーは服を掴んでタックルをするなど、やり方が違います。スパーリングをしていても普段とは違う感覚でした。力と足腰は非常に強く、ラグビー選手はさすがだなという印象を受けました」とコメント。
 
 先日行われた東日本学生リーグ戦を1部Aブロック4位という結果で終えた専大レスリング部。鈴木は個人の課題として“がぶり(※)からの攻撃パターンを増やしていくこと”を挙げており、8月末の全日本学生選手権に焦点を合わせ、個人、チームともに上位入賞を目指すことを誓った。

※グラウンド状態の正面から相手の肩、または背中に乗りかかるように覆い被さった姿勢のこと



(大津智世・経営3)




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